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協会だより
更新日:2014年10月3日
◇ 10月のおたより  ◇
 
 10月に入り、秋の気配をかなり感じるようになって来ました。秋は衣替えの季節でもあり防虫剤を使用する機会があると思いますが、防虫剤は2種類を併用すると逆効果になる場合がありますのでご注意下さい。さて今月は「睡眠にまつわる神話」を取り上げて見たいと思います。


睡眠にまつわる神話がたくさんあるのをご存知ですか? 
睡眠に関して、表面上はロジカルでも、詳しく試してみるとまったく真実でない神話がたくさんあります。そこでよく言われる睡眠の神話を取り上げ、最新の研究結果を交えながら、その真偽を判定してみたいと思います。


「いびきは寝返りでストップする」

 いびきをしているときは、寝返りをする(もしくはパートナーが寝返りをさせてやる)と止まると、よく言われます。いびきは、鼻や喉の内部において、空気の流れが妨げられたときに起こります。アレルギーや副鼻腔炎、睡眠時無呼吸症候群、鼻づまり、お酒、薬剤など、その発生理由はさまざま。仰向けで寝るといびきが出やすいのは事実ですが、横向きに寝たからといって、100%いびきが止まるわけではありません。
 イスラエルで行われたある研究では、いびきをかく2000人を調査した結果、46%は寝相に関係ないことがわかりました。


「週末の寝だめ」

 短期的には、1〜2時間程度の睡眠不足であれば、次の夜の睡眠またはお昼寝で取り戻すことができます。しかし、平日の間毎日1〜2時間不足した睡眠時間を、週末の2日間で取り戻すのは不可能です。ペンシルバニア州立大学が、30人を対象に、寝だめに関する実験を行いました。まずは数日間、被験者を8時間睡眠させてベースを作ります。その後、6日間は6時間睡眠、3日間は10時間睡眠をとらせたのです。その結果、回復するはずの10時間睡眠が、かえって日中の疲労と炎症を呼ぶことがわかりました。集中力も元通りには回復しなかったそうです。その他の研究でも、少しの睡眠不足が慢性的に続くと、注意力散漫、記憶力低下、肥満、心臓病、インスリン抵抗性など、さまざまな健康影響を引き起こことがわかっています。


「寝酒で気持ちよく寝られる」

 夜寝る前のお酒は、称賛する人もいれば、警告する人もいます。お酒を飲むとリラックスして眠くなることから、このような神話が生まれたのでしょう。でも実際、アルコールは睡眠を妨げます。研究によると、アルコールによっていくらか寝つきはよくなるものの、全体的には睡眠の質を下げることがわかっています。その結果、夜中に目を覚ましたり、レム睡眠が短くなったり、余波睡眠に影響を及ぼします。


「高齢者はあまり寝なくてもいい」

 これもよく言われることですが、本当でしょうか? 確かに、「高齢者は早起き」というのは、実感に合っています。研究によると、高齢者は断片的な睡眠や短い睡眠にも対処できるものの、必要な睡眠時間が短くなるわけではありません。
 高齢者の短時間睡眠は、脳における老人斑の出現と関係しています(老人斑は、アルツハイマー病、高血圧、糖尿病、動脈硬化などとも関係します)。年齢を問わず、寝ても疲れが取れないようなときは専門家に相談した方がいいでしょう。治療が必要な睡眠または健康の問題が隠れているかもしれません。


「眠れないときは羊を数える」

 これもよく言わることですが、オックスフォード大学が実施した不眠症に関する最新の研究では、羊を数えることで、睡眠が促されるどころか、逆効果であることがわかりました。それよりも効果があったのは、リラックスできるような景色を想像すること。そのような想像をしたグループは、羊を数えたグループや何もしないグループに対して、平均20分も早く眠りに落ちたのです。ですから、羊を想像すると癒されるという人を除いて、牧歌的な風景を想像しながらベッドに入る方がよさそうです。


「睡眠時無呼吸になるのは、太っている人と高齢者だけ」

 睡眠時無呼吸症候群(OSA)については最近よく取り上げられていますが、太っている人と高齢者だけの問題だと思っている人が多いようです。OSAを患っているアメリカ人は2200万人と言われています。リスクが高いのは40代以上の男性ですが、それ以外にも、若い大人や子どもでさえ、OSAになることはあります。体重もOSAのリスク因子のひとつですが、実際には、非常に健康的な若者にもOSAは起こります。複数の睡眠センターで実施された大規模な調査では、被験者のうち標準体重を持つグループは19%でした。ところが、そのうち54%がOSAを持っていたのです。年齢・体重を問わず、何かおかしいなと感じたら、医師に相談した方がよさそうです。


「寝る前の読書やテレビ鑑賞でぐっすり」

 布団に入ってすぐに眠れずに困っている人はたくさんいます。そんなときは、ベッドの中でくつろぎながらテレビを見たり読書をしたりすると、リラックスして眠くなると思われがちです。テレビの光が睡眠障害に寄与することは、よく知られています。タブレットやスマートフォンでの読書も同様で、光による影響で、睡眠時間が奪われてしまうことがわかっています。睡眠衛生の専門家は、眠くなるまでベッドに入らないこと、およびベッドの中で何もしないことを勧めています。読書やテレビは、ベッド以外の場所で、眠くなるまでするのがよさそうです。就寝の1〜2時間前には照明を暗くし、温かいお風呂に入ることで、眠りにつきやすくなります。


「不眠症は心配が原因」

ストレスが睡眠によくないのは明らかですが、それが不眠症の唯一の原因ではありません。不眠症の原因は、精神的緊張、不規則な睡眠習慣、身体の痛み、むずむず脚症候群、睡眠時無呼吸症候群など、実にたくさんあるのです。それに、不眠症は身近な問題です。National Sleep Foundationによる調査の結果、定期的に症状を経験している人は60%にも及ぶことがわかっています。


 いくつか紹介しましたが、睡眠にまつわる神話はこれだけではありません。いずれにせよ、心身ともに健康でいて、夜は光や電子機器を避け、日中の運動を心がけ、規則的な睡眠習慣を確立することが大切です。


「引用文献:gooニュース」


 10月は国土交通省の住宅月間ですが、KJKでは10月19日の住育の日を記念して今年はWeb講演会第4弾“知って得する結露のお話”を近々Youtubeにアップ致します。ご興味のある方は是非アクセスして下さい。

本部 安藤研治
 
 
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